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「Patisserieかぼちゃの花」、仙台の女性の間では知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。「かぼちゃ専門」も珍しいのですが、使用しているかぼちゃが宮城県産(くりこし2号)で、さらに極力無添加に仕上げようというこだわりスイーツのお店。いつも店内はOLや主婦の方々で賑わっており、現在は、名取エアリ・泉セルバにも出店しています。
さて、この大人気スイーツのお店、仕掛け人はどんな方なのでしょうか?今回は、この「かぼちゃの花」の立ち上げから企画・商品開発まで手がける、上野千恵さんにお話を伺いました。大ヒット商品を生み出す、その裏側と苦労を探ります。
1年で8キロ太る仕事!?
現在のお仕事について教えてください。
「現在は、マルニ食品株式会社という食品会社の企画開発室で働いています。この部署では、新商品の開発から新規事業の立ち上げまで行います。新規事業の立ち上げとは、マルニ食品株式会社の新たな部門や関連会社として飲食店などを新たに立ち上げる仕事で、『かぼちゃの花』はその中の一つです。また、商品パッケージのデザイン、制作なども行います。」
商品開発のお仕事とはどのようなお仕事なのでしょう?
「かぼちゃの花での新商品開発の場合、まず、会社からテーマの提示があります。例えば、『ブッセ』『シフォンケーキ』など。その後、商品・材料・市場などを調査して、詳細を決定していきます。全国のお店から商品を取り寄せて試食したり、開発中の試作品を試食したり、この仕事を始めてから1年で8キロ太ったこともありました(笑)。商品開発をする際には、普通の女性の3人分ぐらいは食べると思います。」
「生み」の苦しみ
商品開発というお仕事をしていて、つらい点などはありましたか?
「生み出す作業って、本当につらいです。一個の商品を生み出すためには、原材料、パッケージ、工程、原価、その全てについて誰よりも詳しくなくてはなりません。パッケージのデザインも、白紙の状態でラフから入ります。そうやって、やっとのことで新商品が出来上がるのです。それを、一度ではなく、常に生み出していかなければならない・・・。ですから当然、体力的にも非常に厳しいものがあります。1週間徹夜続きだったり、丸2日立ちっぱなしということもありました。私自身も去年、胃に穴が3つ開きました。常に締め切りと戦いながら、新しいものを生み出さなくてはならない、そういう意味で生命力の試される仕事かなとも思います。」
「特に商品化の一歩手前は大変です。今の世の中、いろいろな技術があって、日保ちさせるには保存料、キレイに見せるなら着色料、形を良く見せるなら膨張剤など奥の手があります。しかし、原材料だけを活かしてキレイで日保ちのするものを創るのは非常に難しく、原材料の配合を何度も何度も少しずつ変えて試作しなくてはなりません。」
仕事は「義務」から「趣味」へ
お菓子の開発と聞くと、おいしいスイーツがたくさん食べられてうらやましい!なんて思ってしまいますよね。でも、実際の仕事は非常に過酷。そこまで大変なお仕事にもかかわらず、お仕事を続けていられるのはなぜなのでしょうか?
「今の仕事は私にとって趣味と同じなんです。『何かを創る』ことが私の趣味。ですから、『商品を創る』という作業自体が趣味と同じなんですね。仕事と考えると、どうしても強制的で義務的な観念になりますが、それが趣味となると好きなときに好きなだけできる、という感覚でできると思うんです。だから、今の仕事は『趣味』という感覚でやっています。物を創るということは、創っている自分が楽しくないと、人にその楽しさって伝わらないと思うんです。やらなきゃ、やらなきゃと思うと、周りにも悲壮感が漂うじゃないですか。自分が楽しく創れば、見る人も食べる人も楽しいと思いますしね。」
「あとは、周りの人の支えですね。私自身、型にはまるのは苦手なほうなのですが、周りの方々の温かい目のおかげで、自由にやらせてもらってます(笑)。この協力には、本当に感謝しています。」
しかし、仕事を趣味と思ってしまうと、仕事を私生活にも持ち込んでしまって、それが逆にストレスになったりはしないのでしょうか?
「プライベートと仕事は絶対に分けるようにしています。確かに、私生活に仕事の要素が入ってくることは多々あります。外を歩いていれば、お菓子が真っ先に目に入ってきますしね。でも、休みの日には意識的に仕事のことは考えないようにしているんです。一緒にいる人間も、仕事とプライベートでは違いますしね。仕事の話をして、家族や友達が不愉快にならないように気をつけています。」
想像の具現化が嬉しい
逆にこの仕事のやりがいはどのようなところにありますか?
「自分の頭の中で想像していたものが形になる喜びです。時には、無理難題を出されることもあるのですが、それをクリアしたときの達成感はたまらないですね。」
長く人の心を動かし続ける商品を創りたい
それでは今後の夢、目標について教えてください。
「将来的に、幼児・高齢者向けの健康志向の食品を創りたいです。科学的な力はなるべく使わないお菓子を創っていきたいんです。あとは、昔からある材料で、シンプルだけれども、どこか懐かしく、それでいて新鮮な商品を創りたいです。私自身、子供のころに食べたこの会社のうどんが本当に美味しくて、今でもその味を覚えています。ひとつの日常的にある食品が人の心を動かせることは、すごいことだと思うんです。そういう商品を創ることが夢です。」
うえのちえさん Profile
宮城県出身。1972年生まれ。短大の秘書課を卒業後、電気工事の企業で事務として勤務。その後、マルニ食品株式会社に転職。現在、企画開発室課長として日々新しい商品の開発に取り組んでいる。仙台一番町にあるかぼちゃスイーツで人気のお店「Patisserieかぼちゃの花」は、上野さんが新規事業として立ち上げに携わった店舗の一つ。

